会長就任にあたり

会長就任にあたり、会員の皆さまならびに協会運営にご支援を頂いている皆さまにご挨拶を申し上げます。
本協会は設立以来来年で20周年を迎えようとしていますが、これまで小川前会長をはじめ先輩理事の方々のご指導の下、管路更生工法の品質確保に向け様々な活動をして参りました。例えば、資格制度を具体化した「下水道管路更生管理技士」は制度の周知・普及も進み、管路更生工事の現場で有資格者が活躍し、品質向上に一定の成果を上げていると考えています。今後は発注者からも一層の信頼を得て、活動の場が拡がることを期待して、PRを継続する必要があります。
さて、下水道全体で言えば、昨年の能登半島地震では下水道管路に多くの被害が発生し、その復旧や管路の耐震性能の向上が話題になりました。また、今年の八潮市の下水道管の損傷に起因すると思われる大規模な道路陥没は、全国に衝撃を与えるとともに、改めて下水道管の維持管理のあり方が議論される契機となっています。この一環として全国で特別重点調査が管径2000mm、30年以上経過管を対象に実施されることになり、全国の自治体では一斉に調査を開始し、年度内に完了させる予定と聞いております。
一方で、管路更生工法の施工延長実績は、3年前の2022年668kmをピークに一昨年、昨年と微減となっております。これは個人的な分析ですが、昨今の物価高騰や対象口径が大型化したことにより、施工単価が上がっていること、また自治体の人材不足などにより工事の発注が円滑に進んでいないことなどによるのではないかと考えています。しかしながら、全国特別重点調査の結果により、急ぎ対応が必要な管路施設も一定数報告されると思いますので、今年度から来年度、再来年度にかけて多くの対策工事が求められるなど全国的に管路更生工法のニーズが高まってくるものと見込んでおります。そして、これは一過性のものではなく、ある程度ニーズの高まりは維持されるのではないかとも考えています。
各工法協会にあっては、そうしたニーズの高まりをチャンスと捉え、対応する準備を進めるとともに、中長期的にはさらなる効率的な工事が可能となるよう技術開発も並行して進めていく必要があります。
さらに、本協会としては、更生工法を現場で支える人材の確保も忘れてはなりません。例えば「外国人技能実習制度」「登録基幹技能者制度」への管路更生の職種の追加などについて、取り組みを継続してまいります。
この他にも本協会として取り組むべき課題は種々ございますが、会員の協力のもと一つひとつ、取り組んでいく所存です。
「見えない管路に見える品質を!」を目指して、管路更生工法の技術向上、品質確保のための活動に全力で取り組み、事業の社会的地位の向上も目指していきますので、会員各位ならびに関係者の皆さまの一層のご支援、ご協力をお願い申し上げます。
一般社団法人 日本管路更生工法品質確保協会
会長 渡辺 志津男